マンション管理士は不動産・住宅関連の国家資格のひとつで、その名のとおりマンション管理に特化したプロフェッショナルを認定する制度です。
マンションの新規供給戸数は2000年代をピークに減少に転じましたが、ここ10年ほどは年間10万戸程度で安定的に推移しています。
耐用年数に達していない中古マンションも多く、2021年末時点のマンションストック戸数は約686万件に及びます。
こうしたマンションの円滑な管理・運営をサポートするのがマンション管理士です。
将来にわたって活躍が期待される資格といってよいでしょう。
しかし、試験は年に1度しかなく、合格率は例年10%を下回る狭き門です。
広く深い知識を求められることに加え、試験時間のわりに問題数が多いことが難易度を高めています。
合格をつかむためには、十分な受験勉強だけでなく、試験本番における問題への取り組み方がとても重要です。
その秘訣は、問題を解く順番にあります。
この記事では、難関を突破するための実戦的な受験テクニックについて解説します。
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マンション管理士筆記試験の鉄則は時間配分
マンション管理士の筆記試験を合格するためには、時間配分が重要です。
解く順番がマンション管理士試験合格へのカギ
マンション管理士試験は、指定試験機関である公益財団法人マンション管理センターが毎年11月に実施しています。
年齢、学歴、実務経験などの受験資格はなく、だれでも受験できます。
筆記試験だけですが、2023年時点でオンライン試験は導入されておらず、事前にマンション管理センターから指定された試験会場に出向かなければなりません。
試験は全問とも4つの選択肢の中から1つの正解を選ぶ四者択一方式です。
試験時間は120分で、50問が出題されます。
単純計算すると1問あたり2.4分、つまり144秒しかありません。
四択式とはいえ、問題文を読んでいるだけであっという間に数十秒がたってしまいます。
まさに時間との勝負です。
ここで注意しておきたいのは、問題ごとの点数の重み付けがないということです。
つまり、30秒で答えがわかる簡単な問題に正解しても1点取れる一方、10分かけてようやく答えにたどり着けるような難問をクリアしても1点しかもらえないのです。
できる問題、わかる問題から手をつけて、着実に点数を積み重ねるのが得策であることはいうまでもないでしょう。
律儀に出題順に解いていく必要はまったくありません。
難しい、わからないと思ったら、躊躇なく後回しにしましょう。
解く順番が合否を分けるのです。
解く順番が大事な理由
問題を解く順番が試験結果に大きく影響するのは、人間の心理を考えれば当然の結論で、なにもマンション管理士試験に限ったことではありません。
難問の回答に悩み、時間をかけてしまうと焦りが生じます。
ただでさえ年に1回しかない試験で緊張しているところに焦りが加われば、心の平静を失って頭が回らなくなるのが人間というものです。
その結果、平常心であれば簡単に解ける問題まで落としてしまいます。
できる問題から片付けていくこと、すなわち解く順番を間違えないことが筆記試験の鉄則といってもよいでしょう。
マンション管理士試験の内容
出題範囲はほぼ固定されており、法令(約60%)、管理実務(約10%)、技術(約30%)に分かれます。
法令関係では、マンション管理のキモである建物の区分所有等に関する法律(区分所有法)とマンションの管理の適正化の推進に関する法律(適正化法)がメインです。
そのほか、実務で日常的に取り扱うマンション標準管理規約やマンションの構造・設備に関する知識が問われます。
合格最低点(合否ライン)は年度によって異なりますが、おおむね30点代後半に設定されています。
マンション管理士試験の具体的な受験のテクニック
ここからは、具体的なマンション管理士試験受験のテクニックを紹介します。
マンション管理士の問題を解く順番
マンション管理士の問題を解く順番は、どのように決めればよいのでしょうか。
大雑把にいえば、出題範囲のうち法令と管理実務は文系科目、技術は理系科目に分類できます。
どちらもまんべんなくできれば申し分ありませんが、学校での専攻や実務経験の違いにより得意不得意ができるのはやむを得ません。
受験勉強を重ねる間に、自分はどの分野が得意なのかわかってくると思います。
その得意分野の問題から処理していくのが大原則です。
まず、第1問から問題文をざっと読み、難易度の目安をつけます。
得意分野を自覚していれば、すぐに答えが出る問題かそうでないかは直感的に判別できるはずです。
答えがわかったらその選択肢に○をつけ、同時に問題番号にも○をつけておきます。
即答はできないけれどゆっくり考えれば解けそうな問題だったら、問題番号に△をつけ、次に進みましょう。
自信がない苦手分野の問題に突き当たったら、問題番号に×をつけておきます。
判断に迷うこともあるでしょうが、その場合はとりあえず△にしておきます。
この段階ではスピード感を重視し、とにかく得意分野の問題を淡々とこなしていくように心がけましょう。
50問にひととおり目を通したら、第1問に戻って後回しにした△の問題に取りかかります。
今度は多少時間をかけてでも答えを出し、正解と思われる選択肢に○をつけます。
これが終わったところで最後に取りかかるのが×をつけた問題です。
簡単に正解が見つからないのは仕方ありませんが、できるだけ選択肢を絞り込んでいきます。
適切でない選択肢を選ぶ問題を優先的に
ここでもうひとつ小手先のテクニックをご紹介しましょう。
それは、誤っている(適切でない)選択肢を選ぶ問題を最優先し、個数問題は後回しにするのが無難だということです。
マンション管理士試験では、選択肢の中から正しいものや適切でないものを1つだけ選ぶ形の設問が多くを占めます。
誤っている(適切でない)選択肢を選ぶ問題では、記述の中に1か所でも誤りや不適切を見つけたら、その時点で答えが出ます。
逆に、正しい(適切な)選択肢は4つのうち3つの誤り(不適切)を消去法でつぶしていく必要があり、その分時間が必要です。
また、示された4つの記述のうち正しい(適切な)ものがいくつあるのかを問われる問題が毎年何問か出題されます。
個数を答えることから個数問題と呼ばれ、近年出題数が増えてきました。
個数問題では4つの文章すべてについて正誤(適否)を判定しなければならず、必然的に考える時間が長くなります。
できる問題から解いていくという鉄則からすれば、実際の難易度にかかわらず、個数問題は無条件で最後に回すのもひとつの作戦です。
答案用紙に回答を記入する
さて、すべての問題を解き終わったら、マークシート方式の答案用紙に答えを記入します。
仮に解き終わっていなくても、残り時間が30分になった時点で答案用紙への記入を始めてください。
注意したいのは、マークする位置を間違えないことです。
特に、まだ解き終わっていない△や×がある場合、答案用紙のその問題の欄を飛ばさなければなりません。
せっかく正解していたのに、塗る位置を間違えたのでは泣くに泣けません。
答案用紙の記入が終わった時点で、試験時間は少なくとも20分前後残っているはずです。
やり残した問題に答えを出し、最終的には答案用紙をすべて埋めます。
わからない問題でも、答案用紙を空欄のまま提出してはいけません。
塗っておけば運良く当たるかもしれないのですから。
そのうえで余裕があれば、もう一度最初に戻って問いと答えを見直しましょう。
解く順番から逆算したマンション管理士試験の受験対策
できる問題から手をつけるという試験本番の対策をご紹介しましたが、その前提として地道な学習に基づく知識の蓄積が必要であることはいうまでもありません。
受験勉強に王道はありませんが、強いていえば、テキストを熟読し過去問題集に繰り返し当たっておくというごく常識的な方法に尽きます。
とはいえ、準備の時間は限られています。
その中でできる問題を最大化するためには、より多く出題される分野(具体的には法令関係、特に区分所有法や適正化法)を重点的に勉強しておくのが有利といえましょう。
また、過去問に取り組む際にも、常に解く順番を意識して取り組みたいものです。
数を重ねるうちに、問題の取捨選択やペース配分の感覚がつかめてくるはずです。
まとめ
同じように準備時間をかけて知識を蓄えたのに、試験に受かる人と受からない人がいます。
運不運もありますが、解く順番を間違えて実力を発揮できなかったというケースも少なくありません。
合否を分けるのは、解く順番なのです。
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