マンション管理士と宅地建物取引士はいずれも不動産関連に関する資格です。
またこの二つの資格は、業務特性上ダブルライセンスの相性が良いと言われています。
マンション管理士と宅地建物取引士、それぞれの資格の難易度はどのくらいでしょうか。
二つの資格の同時取得は可能でしょうか。
この記事では、マンション管理士と宅地建物取引士の業務内容や試験内容、難易度について解説した後、ダブルライセンスのメリットとダブル受験についてお伝えします。
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マンション管理士とは
マンション管理士とはどのような仕事でしょうか。
マンション管理士は、マンションの運営・管理に関するコンサルティングを行います。
マンション管理組合や区分所有者からのさまざまな相談に応じ、専門的な知識を活かしてアドバイスや指導、サポートをする仕事です。
そのほか、マンションの長期修繕計画や管理規約などの策定・見直し、マンションで発生する住民同士のトラブルを解決します。
宅地建物取引士とは
宅地建物取引士とはどのような仕事でしょうか。
宅地建物取引士は、宅地建物取引業法により定められた国家資格です。
土地や建物などの不動産取引が公正に行なわれるようチェックし、「重要事項の説明」や「重要事項説明書への記名・押印」という独占業務を有しています。
また、宅地建物取引士は事務所等に「成年の専任の宅地建物取引士」を置かなければならないという「設置義務」があり、設置場所によってその人数は異なります。
マンション管理士と宅地建物取引士の共通点と違いは?
マンション管理士と宅地建物取引士の業務と試験について、共通点と違いを見てみましょう。
マンション管理士 | 宅地建物取引士 | |
資格種類 | 国家資格 | 国家資格 |
独占業務 | なし | あり |
設置義務 | なし | あり |
試験日 | 年1回(11月の最終週の日曜日) | 年1回(10月の第三日曜日) |
試験時間 | 2時間 | 2時間 |
出題形式 | 四肢択一式・50問 | 四肢択一式・50問 |
出題内容 | 法令、会計・管理実務、建築設備 | 宅地業法、権利関係(民法)、法令上の制限 、税・その他 |
マンション管理士と宅地建物取引士の共通点は「資格種類が国家資格」であることです。
業務内容の面では、マンション管理士には「独占業務」と「設置義務」がなく、宅地建物取引士には「独占業務」と「設置義務」があるという点が大きく異なります。
試験内容を見てみると、試験時間は「2時間」、出題形式は「四肢択一式の合計50問」で共通です。
試験の出題内容はどうでしょうか。
二つとも不動産関連の資格ではあるものの、業務内容が異なります。
前述の通り、マンション管理士は「管理組合や区分所有者へマンション管理のコンサルティング」が業務であることから、出題内容はマンションに関する法令、会計・管理、建築設備を網羅した問題が出題されます。
一方で、宅地建物取引士は「不動産取引において、重要事項の説明や重要事項の説明書の記名・押印等、契約」を行うため、宅地業法や民法を主とした権利関係の出題が多いのが特徴です。
マンション管理士と宅地建物取引士の試験の合格率と難易度は?
それでは、マンション管理士と宅地建物取引士の試験の合格率と難易度ついて見ていきます。
マンション管理士の合格率は7%〜9%といわれています。
令和4年度マンション管理士試験の結果は以下のとおりです。
合格率は11.5%と例年より高かったようです。
受験申込者数 | 14,342 人 |
受験者数 | 12,209 人 |
受験率 | 85.1 % |
合格者数 | 1,402 人 |
合格率 | 11.5 % |
合否判定基準 | 50問中40問以上正解 |
宅地建物取引士の合格率は15%〜17%といわれています。
令和4年度宅地建物取引士試験の結果は以下のとおりです。
受験申込者数 | 283,856 人 |
受験者数 | 226,048 人 |
受験率 | 79.6% |
合格者数 | 38,525 人 |
合格率 | 17.0% |
合否判定基準 | 50問中36問以上正解 |
受験者数を比較するとマンション管理士は約12,000人、宅地建物取引士は約226,000人で、宅地建物取引士が一桁多いことがわかります。
合格判定基準を見てみると、マンション管理士は「40問以上正解」、宅地建物取引士は「36問以上正解」であることから、マンション管理士の難易度の方が高いと言えるでしょう。
マンション管理士と宅地建物取引士の試験内容は?
次に、マンション管理士と宅地建物取引士の試験内容を見ていきます。
試験内容 | 法令 31問程度 会計・管理実務 4問程度 建築設備 15問程度 | 宅地業法 20問 権利関係(民法) 14問 法令上の制限 8問 税・その他 8問 |
マンション管理士と宅地建物取引士は不動産に関する資格のため、民法や区分所有法など試験の出題範囲が同じ部分があります。
宅地建物取引士は不動産全般の知識、特に土地と建物に関する内容が出題されます。
マンション管理士はマンション管理に関する幅広い知識が必要となる内容が出題されるため、宅地建物取引士よりも深い知識が必要です。
よって、マンション管理士は宅地建物取引士に比べて必然的に学習時間が多くなります。
マンション管理士と宅地建物取引士の学習時間は?
マンション管理士と宅地建物取引士の学習時間はどのくらいでしょうか。
一般的にマンション管理士は500時間程度、宅地建物取引士は300時間程度と言われています。
例えば、1日3時間の学習時間が確保できる場合、マンション管理士は6か月弱、宅地建物取引士は3か月強の学習時間が必要です。
マンション管理士と宅地建物取引士のダブルライセンスのメリットは?
そもそもマンション管理士と宅地建物取引士、両方の資格を取得した方がよいのでしょうか。
ダブルライセンスのメリットを挙げてみました。
- マンション売買の取引からマンション管理のコンサルまで一貫して行うことができるので、就職・転職に有利。
- 不動産会社に所属している場合は、資格手当などで収入アップの可能性あり。
- 独立している場合、業務の幅が広がるため、どちらかの資格のみを持っている会社よりも差別化を図ることができる。
- マンション管理士と宅地建物取引士はいずれも不動産に関する資格のため、民法や区分所有法など試験の出題範囲が同じ部分があることから学習しやすい。
以上のことから、マンション管理士と宅地建物取引士のダブルライセンスを狙うメリットは大きいと言えます。
マンション管理士と宅地建物取引士、両方取得するならどちらを先に受験するのがよい?
もし、マンション管理士と宅地建物取引士のダブルライセンスを取得したいのであれば、はじめに宅地建物取引士の取得をおすすめします。
理由は難易度と学習時間です。
宅地建物取引士は不動産全般の知識、特に土地と建物に関する内容が出題されます。
マンション管理士は、マンション管理に関する幅広い知識が必要な内容が出題されるため、宅地建物取引士よりも難易度が高く、学習時間が多く必要です。
また独占業務や設置義務がある宅地建物取引士の方が、マンション管理士よりも実情として需要が多くなります。
よって、宅地建物取引士を取得した後に、プラスアルファの資格としてマンション管理士を狙うという順番が良いでしょう。
学習の観点から見ても、宅地建物取引士の学習で不動産全般の知識を身に付けた後、マンション管理士の学習でマンション管理の専門知識を身に付けていくのが効率的です。
マンション管理士と宅地建物取引士のダブル受験は可能?
マンション管理士と宅地建物取引士のダブル受験は可能でしょうか?
試験日は以下のとおりです。
- マンション管理士の試験日は11月の最終週の日曜日
- 宅地建物取引士の試験日は10月の第三日曜日
宅地建物取引士の試験が先に実施され、約1か月後に宅地建物取引士の試験が実施されるので、日程的にはダブル受験は可能と言えるでしょう。
マンション管理士と宅地建物取引士は不動産に関する資格のため、民法や区分所有法など試験の出題範囲が共通している部分もあります。
ただし共通の出題範囲があるものの、マンション管理士の方が幅広く、深い知識が必要とされる試験内容となっており、それだけ多くの学習時間の確保が必要です。
結論として、学習時間を長期でしっかりと確保できるのであればダブル受験は挑戦の価値があるかもしれませんが、別々に受験し、確実に合格を狙う方が現実的と言えるかもしれません。
まとめ
マンション管理士と宅地建物取引士の試験の難易度を比較すると、専門知識の深い内容まで学習が必要なマンション管理士の方が高くなっています。
難易度が高い故にマンション管理士は宅地建物取引士よりも合格率が低く、より多くの学習時間が必要です。
マンション管理士と宅地建物取引士の同時取得は可能であるものの、学習の負荷がかなり高いダブル受験ではなく、宅地建物取引士を確実に取得した後、マンション管理士を狙うことをおすすめします。
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