- マンション管理士になると年収は上がるのか
- マンション管理士は一度取れば、長年役に立つ資格なのか
このような点は資格取得を目指すうえで気になるのではないでしょうか。
試験の難易度が高く、将来性もあるマンション管理士は、資格を保有すると強い武器になります。
しかし、資格を取得しただけで年収が上がるわけではありません。
マンション管理士の「給料・平均年収」「定年後も継続して稼げるのか」について解説し、年収を上げる方法もご紹介します。
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マンション管理士の給料・平均年収は?
マンション管理士の給料・平均年収についての正確なデータは公開されていません。
一般的に400万円前後だと言われています。
会社勤務の場合と、独立・開業した場合に分けて詳しく解説していきます。
マンション管理士「会社勤務」の場合の平均年収
会社勤務の場合のマンション管理士の平均年収は、日本の平均年収と同等だと言われています。
求人サイト「求人ボックス」の給与情報の統計によると、マンション管理士の年収について分かるのは以下の3点です。
- 平均年収は447万円
- 一番割合が多いのは345〜414万円
- 給与幅は276〜830万と広い
複数の求人サイトの募集要項を見ると、「入社5年目で年収480万円」「入社10年目で年収650万円」のように、勤続年数を目安に昇給するケースが多いことがわかります。
つまり、会社勤務の場合は、経験値に比例して年収も上がっていくと予想できます。
また、マンションの管理費用はマンションごとに異なることから、マンション管理士の年収には地域も影響してくることが考えられるため、注意が必要です。
国税庁の「令和3年分民間給与実態統計調査結果」によると、日本の平均年収は443万円です。
一般の意見の通り、会社勤務のマンション管理士の平均年収は、日本の平均年収と変わらないとみていいでしょう。
ただし、その分布は大きく変わる可能性があるため、平均年収の扱いには注意が必要です。
マンション管理士「独立・開業」した場合の平均年収
独立・開業した場合のマンション管理士の売上は、400万円未満の人が全体の約8割を占めます。
※年収についてはデータが公表されていないため、売上で確認をします。
マンション管理センターの調査のうち「個人事務所で活動を行う人の年間売上高」によって、以下の3点がわかります。
- 400万円未満と回答した人が81.2%
- 400万円以上と回答した人は18.7%
- 1,000万以上と回答した人は2.2%
少数ではありますが、独立・開業をして高収入を得ている人もいます。
ただし、本調査はあくまでマンション管理士としての仕事による売上のため、実際にはダブルライセンスなど他の収入源があることも考えられます。
そもそも100万円未満の仕事のみでは生活が成立しないため、副業や年金で足りない分の補填として働いている人も含まれていると考えられるでしょう。
なお、売上高を参考としているため、実際の収入額は経費等を控除後の金額となります。
年間売上高 | 回答者の割合 |
1,000万円以上 | 2.2% |
400万円以上1,000万円未満 | 16.5% |
100万円以上400万円未満 | 36.6% |
100万円未満(無収入含む) | 44.6% |
参考:マンション管理センター『マンション管理士の業務についてのアンケート』
マンション管理士は定年後も継続して稼げる?
マンション管理士は、定年後も継続して稼げる仕事なのでしょうか。
詳しく解説していきます。
高年齢層に人気の資格
マンション管理士は定年後も活躍できる仕事として人気があります。
マンション管理センターの調査によると、マンション管理士登録者のうち60代が34.3%、70代が15.6%、80代が1.7%と約半数は高年齢者です。
不動産管理関連の会社を退職後、経験や資格を活かし再就職、再雇用できるケースもあります。
高年齢層が重宝される理由は、マンション管理士は経験を重視されるためです。
マンション管理士は、主な顧客であるマンション管理組合員とのコミュニケーションを取る機会が多い仕事です。
年齢が高く経験豊富な方が、顧客や会社からの信頼度は高くなります。
年金を受給しながら活動
先述の調査結果の通り、独立・開業しているマンション管理士は、44.6%の人が100万円未満と年収が低いことがわかります。
登録者の約半数が60歳以上であることは、マンション管理士の平均年収が低い要因のひとつです。
65歳になれば年金を受給できるため、高収入を求めていない人が多いと推測できます。
確かに、年金受給額の補完だと捉えれば十分な収入源です。
現役時代の経験を活かし、年金を受給しながら活動するにはマンション管理士は最適な仕事です。
マンション管理士の仕事内容とは?
マンション管理士の仕事内容はどのようなものか、解説していきます。
マンション管理士の業務内容
マンション管理士は、マンション管理組合や住民からの相談を受け、以下のような業務を行います。
- 管理規約、使用細則の作成
- 長期修繕計画の作成や業者選定
- 住民間のトラブル解決に向けての予備的交渉
- 大規模修繕工事の計画、実施
- 居住者の義務違反、管理費滞納等へのアドバイス
業務の幅が広く、管理組合員や住民とコミュニケーションを取る機会が多いことが特徴です。
その他、個別に相談会を開催するマンション管理士もいます。
マンション管理士の詳しい仕事内容については、以下の記事をご参照ください。
マンション管理士の将来性
冒頭で述べた通り、マンション管理士は将来性のある仕事です。
国土交通省の統計によると、2021年時点で築40年以上のマンションは115.6万戸で、マンションストック総数の約17%を占めます。
今後も高経年マンションは増加見込みのため、修繕や建て替えが増えることが予想できます。
一方でマンション管理士は、2017年時点で23,118人と登録者数は多くありません。
2022年度試験の合格者は1,402人で、試験の難易度も高いため急増することはないでしょう。
つまり、ライバルが少ない中、需要が増えるため仕事獲得のチャンスが期待できるということです。
また、マンション管理士は2001年にできたばかりの新しい資格のため、現状で管理組合からの認知度が低いです。
今後認知度が高まれば、専門知識を保有したマンション管理士の存在価値は高まるでしょう。
マンション管理士が年収を上げるポイント
ここまでの解説の通り、資格難易度の割にマンション管理士の仕事だけでは年収が高くないことがわかります。
年収を上げるためにはどうしたらいいのでしょうか。
マンション管理士が年収を上げるポイントを3つご紹介します。
管理業務主任者とのダブルライセンス取得
マンション管理士は独占業務ではなく、資格を持っていない人でも同じ仕事ができるため、優遇されない会社もあります。
マンション管理士と似ている資格で、管理業務主任者があります。
管理業務主任者は管理受託契約時の重要事項説明等の独占業務があり、マンション管理会社に一定数の設置義務もあるため、優遇されるケースが多いです。
両者は必要とされる知識が似ていますが、立ち位置や業務内容が異なります。
- マンション管理士:管理組合や住民の立場でアドバイスや諸手続き等を行う
- 管理業務主任者:マンション管理会社の従業員として、管理受託し管理状況の報告等を行う
マンション管理士と管理業務主任者は、試験範囲が重複する部分が多く、同時受験も可能です。
管理業務主任者とのダブルライセンス取得で、昇給や昇格も見込めるでしょう。
相性のいい資格を取得
管理業務主任者以外にも、相性の良い資格取得により業務領域を広げることも選択肢のひとつです。
広い知識を保有していることが証明できれば、企業や顧客からの信頼度が上がります。
新たな業務を任せてもらえて、収入アップへ繋がることもあるでしょう。
相性の良い資格は、以下のものがあります。
- 宅建士:管理業務だけでなく売買・賃貸業務も行える
- 行政書士:管理規約や住民間トラブルに関する行政関連の書類作成業務も行える
- ファイナンシャルプランナー:マンション管理士として築いたネットワークで、資産運用やライフプランのアドバイス等の仕事に繋げることも可能
このように、マンション管理士をメインに職域を広げることで新たな仕事を獲得できるでしょう。
経験を積んで独立・開業
独立・開業も年収アップの手段のひとつですが、ハードルは高いでしょう。
マンション管理士は勤続年数や経験を重視されるため、資格取得しただけで独立・開業しても高収入は見込めません。
資格保有のうえ管理会社等で業務経験を積み、独立・開業することが理想です。
また、営業活動や人脈作りなどにより、積極的に仕事を獲得する必要があります。
マンション管理センターの調査によると、業務受注のきっかけとして多いのが「所属する団体や関係者からの紹介」や「相談会やセミナー講師の活動」です。
前述の通り18.7%と少数ではありますが、マンション管理士として400万円以上の収入を得ている人もいます。
経験を積み積極的に営業活動を行えば、独立・開業して収入アップも期待できます。
まとめ
マンション管理士は、資格を取得しただけで年収が上がる仕事ではありません。
平均年収は、会社勤務の場合は400万円前後、独立・開業の場合は400万円未満(売上)の割合が多く、マンション管理士だけで高収入を得ている人は少数です。
しかし、相性の良い資格も保有し職域を広げることで、幅広い業務を受注できるようになり年収アップも期待できます。
また、経験を活かして定年後も継続して稼げる仕事でもあります。
マンション管理士は今後見込まれる需要拡大など将来性のある魅力的な資格です。
ぜひ資格取得を目指し、チャレンジしてみてはいかがでしょうか。
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