マンション管理士の資格は、試験に合格して資格取得後、永久に保有できるわけではありません。
資格を維持するためには、一定期間ごとに更新の手続きが必要です。
- マンション管理士の更新は何年に一度?
- 更新の際に必要な費用や条件はある?
- もし更新をしなかったらどうなる?
このような疑問を持つ人もいるでしょう。
そこでこの記事では、マンション管理士の資格有効期限と更新義務、更新・維持にかかる費用について解説していきます。
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マンション管理士の資格有効期限
マンション管理士の資格有効期限は5年です。
5年ごとに更新の続きを行い、法定講習の受講が必須となります。
法定講習の受講義務と違反した場合の処分について、法令とともに詳しく解説します。
マンション管理士の法定講習の受講義務
法定講習とは、国土交通大臣の登録を受けた登録講習機関「(公財)マンション管理センター」が実施する講習のことです。
マンション管理士は、マンション管理適正化法第41条の規定により5年ごとに法定講習を受講する義務があります。
法定講習の受講期限は「マンション管理士として登録を受けた日の5年後の応答日の属する年度末まで」です。
応答日とは、登録日に対応する日のことで、2月19日に登録を受けた場合は2月19日が応答日となります。
例えば、登録日が2018年度(2018年4月〜2019年3月)の場合、2023年度(2023年4月〜2024年3月)中に受講する必要があります。
マンション管理士資格の更新を忘れた場合
マンション管理士の資格更新を忘れた場合は、登録の取り消しやマンション管理士の名称の使用停止を命じられることがあります。
法定講習を受講しない者は「マンション管理士としての受講義務違反」(第41条違反)に該当するためです。
第33条の規定では、「国土交通大臣は、マンション管理士が第40条から第42条までの規定に違反したときは、その登録の取り消し、又は期間を定めてマンション管理士の名称の使用停止を命ずることができる」と定められています。
第41条の「受講義務違反」に該当する場合は、登録の取り消し、利用停止になるということです。
登録を取り消しされてしまった場合は、2年経過しなければ再登録できないため注意が必要です。(第30条)
参考:マンション管理士法定講習関係、マンション管理士登録関係
マンション管理士の更新手続き
更新手続きとは具体的にどのようなことを行うのか、更新の目的もあわせて解説します。
マンション管理士の更新にかかる費用
更新にかかる費用は、法定講習受講料の16,600円(税込)です。
別途、振込手数料は申請者負担となります。
マンション管理士資格更新の目的
5年ごとに更新する一番の目的は、法定講習の受講により最新の知識を取り入れることです。
一つは、法令改正に関する知識です。
法令は、社会情勢や経済状況に合わせて常に改正されます。
古い法令に沿った知識のままでは、顧客へ誤った情報を提供する可能性があります。
もう一つは、マンション管理士に関する知識です。
マンション管理士は、2001年にできた新しい国家資格のため情報更新が頻繁に行われます。
最新の知識による適切なコンサルティングを行えるよう、法定講習の受講が義務付けられています。
また、試験から5年も経過すると忘れている内容もあるでしょう。
5年ごとに法定講習を受講することは、知識の衰えの防止にも役立ちます。
マンション管理士資格更新の流れ
更新の申請から完了までのスケジュールは、以下の通りです。
- マンション管理センターから案内が届く
- 講習受講申請書を送る
- 法定講習を受講する
- 受講後、修了証が交付される(WEB方式の場合は郵送、教室方式の場合は会場にて交付)
11月下旬頃、マンション管理センターから受講対象者宛てに「受講案内・受講申込書」が郵送されます。
申込書が届かなかった場合は、マンション管理センター試験研修部へ問い合わせましょう。
なお、申込書類の入手方法については、マンション管理組合のホームページからダウンロード、またはマンション管理センター本部・大阪支部での入手も可能です。
マンション管理士資格の法定講習の概要
更新の際に受講する法定講習はどのような内容なのか、詳しく解説します。
法定講習の日程
2021年度から、受講期間内に自宅で動画を視聴するWEB方式が推奨されています。
自宅にインターネット環境が整っていない場合は、従来の教室方式も選択可能です。
教室方式の場合、希望の日程を選んで受講します。
2022年度の日程は以下の通りです。(2023年2月現在、申込の受付は終了)
2023年度の日程はマンション管理センターのホームページにて掲載予定です。
受講方式 | 受講日 | 2022年度の日程 |
WEB方式 | 受講期間内に動画視聴 | 2022年12月19日〜2023年2月17日 |
教室方式 | 受講日を選択 | 2023年1月21日、2023年2月2日から選択 |
法定講習を実施する場所
教室方式を選択した場合は、実施協力機関である「日建学院」校舎にて受講します。
開催地の詳細は日建学院のホームページを参照してください。
法定講習の受講科目
法定講習では4科目を受講します。
教室方式の場合は4科目を1日で合計6時間受講し、WEB方式の場合は日を分けて動画視聴が可能です。
受講科目と内容、講習時間は以下の通りです。
科目名 | 内容 | 講習時間 |
マンションの管理に関する法令及び実務に関する科目 (マンション管理適正化法に関する科目を除く) | イ:区分所有法その他マンションの管理に関する法令の概要及び最近の改正内容等の解説 ロ:マンション標準管理規約及びマンション標準管理委託解約書の概要及び最近の改正内容等の解説 ハ:マンションの管理に関する実務の概要及び最近の実務動向の解説 | 約120分 |
管理組合の運営の円滑化に関する科目 | 管理組合の運営の円滑化のための方策及び最近の紛争事例等の解説 | 約90分 |
マンションの建物及び附属施設の構造及び設備に関する科目 | イ:マンションの建物及び付属施設の構造及び設備の概要 ロ:長期修繕計画の作成方法及び大規模修繕の実施方法の概要及び最近の実務動向の解説 | 約120分 |
マンション管理適正化法に関する科目 | マンションの管理の適正化の推進にかかる法律の章及び節ごとの概要並びに最近の改正内容等の解説 | 約30分 |
マンション管理士の資格の維持費
マンション管理士の資格の維持費はどのくらいかかるのでしょうか。
マンション管理士を名乗って業務を行うためには、試験合格後、マンション管理士登録簿への登録を受ける必要があります。
合格後の登録から更新、再発行等にかかる維持費について、解説していきます。
マンション管理士資格登録時の費用
試験合格後、登録する際にかかる費用は約13,550円です。
以下の他、郵送料金は申請者負担となります。
- 登録手数料:4,250円
- 登録免許税:9,000円分の収入印紙
- 住民票発行手数料:約300円
参考:マンション管理士登録案内
マンション管理士資格更新時の費用
更新の際にかかる費用は、講習受講料16,600円(税込)と、別途振込手数料です。
マンション管理士資格再発行時の費用
紛失・破損等または住所変更等の登録事項に変更があった場合、登録証の再発行が必要です。
再発行時には、以下の手数料がかかります。
- 登録事項の変更、登録証の再交付手数料:2,300円(税込)
- カード型管理士証の再交付手数料:2,540円(税込)
別途、郵送料金は申請者負担となります。
登録事項の変更の場合、住民票発行料金が必要です。
参考:マンション管理士登録案内
マンション管理士の資格を更新するメリットとは?
前述の通り、マンション管理士の資格には維持費がかかります。
さらに2018年実施のマンション管理センターの調査によると、資格取得者のうち「活動を行ったことがない」と回答した人は75.8%に及び、資格を活用できていない人が多いというのが現状です。
では、マンション管理士の資格を更新するメリットはあるのでしょうか?
これから解説するマンション管理士を保有するメリットを確認し、更新するかどうかの判断にお役立てください。
マンション管理士は新しい資格のため将来性がある
マンション管理士は2001年にできた新しい国家資格です。
マンションの管理を適正に行っていくためには専門知識が必要とされますが、管理組合の構成員であるマンションの住民は専門知識を有していません。
そこで「マンション管理適正化法」において、管理組合の運営、建物の維持または修繕の専門知識を有する国家資格として、マンション管理士の資格が位置付けられました。
需要があり作られた背景があるため、今後の将来性がある資格だということができます。
マンション管理士の社会的ニーズが上昇している
国土交通省の資料によると、2020年時点で築40年超のマンションが103万戸。20年後には約3.9倍の405万戸となる見込みとされています。
すなわち、高経年マンションが急増する傾向があるということです。
老朽化の抑制や修繕が困難なマンションの再生に向けた取り組みの強化が課題とされていますが、管理組合だけでの対応することは困難です。
また、住民の高齢化によるバリアフリー化、地震等の災害対策の強化等のニーズもあり、マンション管理士の専門知識が必要とされると予想できます。
ダブルライセンス保有でキャリアアップ
マンション管理士の資格保有者は、マンション管理業、不動産業の会社に所属しているケースがほとんどです。
不動産管理会社において、マンション管理士の設置義務はありませんが、管理業務主任者を一定数設置することは義務付けられています。
マンション管理士と試験範囲が重なる部分の多い管理業務主任者とのダブルライセンス保有により、昇給や昇格等のキャリアアップが見込めます。
また、他にも宅地建物取引士や不動産鑑定士などの不動産関係の資格とも相性がいいでしょう。
まとめ
マンション管理士の資格は5年ごとに更新が必要で、法定講習の受講が必須です。
正しい情報を提供するために常に最新の情報を取り入れ、知識をアップデートしていくことが必要とされるため、その一環として法定講習の受講が義務付けられています。
また、資格を維持するためには、登録時、更新時、再発行時に一定の費用が発生します。
更新時の手間や維持費がかかりますが、マンション管理士は将来性のある魅力的な資格であるため、更新するメリットは十分あります。 更新の流れや日程を確認し、漏れのないよう手続きを行いましょう。
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